NPO 法人国際ブリアー

日本佛光山が日本で正式に特定非営利活動法人(以下、NPO 法人)の法人格を取得し、設立した NPO 法人国際ブリアーの活動は、緊急災害支援、地域社会との交流・支援活動や文化交流イベントの企画・実施、慈善、教育、環境保護、医療などの各種事業がある。

国際佛光会(Buddhaʼs Light International Association: BLIA)1992 年に設立された台湾高雄に総本山を置く佛光山の出家僧と在家信者によって構成される民間非営利組織である。佛光山は、2011 年に発生した東日本大震災の際に、日本の別院である東京佛光山寺および国際佛光会東京協会を中心とする日本佛光山を通じて積極的な支援活動を展開した。そして、日本佛光山は、この震災支援での経験・教訓を活かして、2013 年に特定非営利活動法人国際ブリアー(以下、国際ブリアー)を設立するに至った。

NPO 法人国際ブリアーの設立背景としての東日本大震災
佛光山は日本に別院として、佛光山法水寺(群馬県)、東京佛光山寺(東京都)、佛光山本栖寺(山梨県)、名古屋佛光山寺(愛知県)、大阪佛光山寺(兵庫県)を置いている。
信徒団体/ NGO としての国際佛光会も佛光山の別院と同様に日本各地に協会・分会を置いており、東京協会、関東協会、大和協会、大阪協会、福岡協会、名古屋籌備会17、板橋分会、茨城分会、宇都宮分会、埼玉分会、新宿分会、杉並分会、豊島分会、練馬分会、港区分会などがある。東日本大震災が発生した際には、東京佛光山寺・国際佛光会東京協会を中心とする日本各地の別院、国際佛光会協会・分会が協力して支援活動を展開した。

国際ブリアー設立の契機となった東日本大震災における日本佛光山の支援活動2011 年 3 月 11 日、東北地方太平洋沖地震が発生し、東北地方から関東地方に至る広範な地域で甚大な被害が発生した。
東京佛光山寺・国際佛光会東京協会を中心とする日本佛光山は、東日本大震災における支援での地震は主に、台湾の民間レスキュー隊の後方支援、被災地への救援物資支援、義援金支援、奨学金支援を行った。特に、民間レスキュー隊の後方支援、被災地への救援物資支援は、国際ブリアー設立の直接的な契機となった。以下、その 2 つの支援活動について簡単に経緯を説明する18。まず、民間レスキュー隊の後方支援については、3 月 13 日に「中華民国捜救総隊」(以下、捜救総隊)という台湾の民間レスキュー隊が日本に到着した。しかし、政府派遣ではなかったため、受け入れの手続きができず、東京佛光山寺が一時的に隊員を受け入れることになった。その後、東京佛光山寺の尽力で山梨県の NPO 法人災害危機管理システム Earth(以下、アース)の石原顕正理事長(日蓮宗立本寺住職)の協力を得ることが可能となり、捜救総隊は石原理事長とともに岩手県大船渡市にある本増寺(日蓮宗)に入り、救援活動を展開するに至った。

つぎに、2013 年 8 月に実施した東京佛光山寺への聞き取り調査によると、日本佛光山はアースの協力を得ることにより、はじめて被災地に入ることが可能となったとのことであった。3月 18 日以降本格的に支援活動を展開し、救援物資の配布などを実施した。具体的には、岩手日本における台湾「市民社会」の伸張と受容(今井)県大船渡市本増寺(日蓮宗)、宮城県仙台市立七郷小学校、気仙沼市東陵高等学校、石巻市法音寺(日蓮宗)などの寺院や学校などで行われた。
東日本大震災において日本佛光山は、震災発生直後、単独で迅速な支援活動を展開することができなかった。このことを教訓として、日本佛光山は、2013 年 1 月に NPO 法人国際ブリアーを設立したのである。

第 3 節 NPO 法人国際ブリアーの事業からみる台湾「市民社会」の伸張と受容
1.NPO 法人国際ブリアーの概要
(1)目的
国際ブリアーが、東日本大震災の支援活動で得た教訓にもとづいて設立されたことはすでに述べたとおりである。国際ブリアーは定款第 3 条で、団体の目的について、つぎのように定めている。
この法人は、国内外の自然災害により、平穏な生活が脅かされた被災者又は脅かされる可能性がある被災地域住民に対して、支援物資の運搬・配布・避難場所の提供及び管理、その他ボランティア等の支援に関する事業を行う事により、国際交流を深めていくとともに、広く一般の人々が健康で文化的な生活をすることができる社会の維持及び地域の復興に寄与することを目的とする。
定款第 3 条をみると、自然災害の被災者に対する支援を団体の主な目的としており、東日本大震災の支援活動で得た痛烈な教訓を表していることがわかる。

(2)事業内容
国際ブリアーは定款第 3 条で定めた目的を達成するために、以下の事業を展開することを定款
第 5 条で定めている。
・災害時の救援活動
・被災地への救援物資の手配、運搬及び配布
・被災者への避難場所の提供及び心理ケア
・仮説住宅居住者への物資支援
・親族を失った児童への支援活動
・高齢者への支援活動
・ボランティア活動のコーディネイト
・災害時の救護・救援活動及び支援についての指導、研修の開催、人材育成
・復興支援に関するシンポジウム、研究会及び催し物の開催
・その他目的を達成するために必要な事業
定款第 3 条の目的で定めているのと同様に、災害時における被災者支援活動およびその関連事
業を主な事業内容に挙げていることがわかる。

(3)組織概要
国際ブリアーは、登記上、主たる事務所を東京佛光山寺に置いている。その他、大阪佛光山寺、名古屋佛光山寺、福岡佛光山寺、佛光山本栖寺、佛光山法水寺にも事務所を置いている。理事長は、釈満潤(以下、満潤)日本佛光山総住職が務め、その他の理事については、各別院の住職・副住職が担当し、各地域の国際ブリアーの責任者を兼任している27。定款によると、設立当初の役員は、理事長 1 名、副理事 2 名、理事 6 名、監事 1 名であった。

国際ブリアーの日本佛光山における位置づけは、紹介資料によると「助成:日本佛光山」「協賛:国際佛光会東京協会」とされている29。運営・事業展開に必要な資金は、日本佛光山、すなわち寺が拠出し、政府や企業からの寄付金や補助金は受け取っていない。

日本佛光山の各別院は、台湾の総本山から派遣された僧侶によって運営されている。また、国際佛光会は在家信者を中心するボランティアによって運営されている。NPO 法人としての国際ブリアーは、僧侶がリーダーとなり、信徒とともに各種ボランティア活動を展開する僧侶と信徒が融合した組織体であるといえよう。

NPO 法人国際ブリアーの事業展開とその特徴
国際ブリアーの事業は、定款第 5 条で定められているとおりであるが、中心的な事業である災害時の被災者支援の他に、「文化により知識と知恵を広げる、教育により人材を育成する、慈善により社会へ奉仕する、交流により人間関係を親密にする」という 4 つの柱にもとづいて、事業を展開している。

(1)緊急災害支援
緊急災害支援は、国際ブリアーの中心的事業である。ここでは、2016 年 4 月に発生した熊本地震での支援活動を事例に考察を進める。
2016 年 4 月 14 日および 16 日に熊本県を中心として最大震度 7 の地震が発生した。この一連の地震で、熊本県、大分県では 211 人が亡くなり、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県では 2,746 人が負傷した。また、熊本県、大分県では 8,682 棟の住宅が全壊し、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、山口県では 18 万 6,409 棟の住宅が半壊・一部破損するなど、甚大な被害が発生した。
2016 年 9 月に実施した東京佛光山寺への聞き取り調査によると、4 月 16 日の地震発生後、東京佛光山寺は支援活動の実施に関し、いくつかの方途を模索し、以下の 2 つにより円滑な支援活動の展開が可能となったようである34。1 つがアースを通じた現地活動拠点の確保である。東京佛光山寺は、国際ブリアーのボランティアを通じ、アースの石原理事長と連絡を取り、支援物資の送付先について検討を依頼した。

八代市にある宗覚寺の連絡先を国際ブリアーに教えた。これを受けて国際ブリアーは宗覚寺に連絡し、必要な物資を確認したうえで、そこへの送付の準備を開始した。もう 1 つが、NPO 法人格を取得していた国際ブリアーによる被災地への直接支援である。福岡日本佛光山が日本で正式に特定非営利活動法人(以下、NPO 法人)の法人格を取得し、設立した NPO 法人国際ブリアーの活動動は、緊急災害支援、地域社会との交流・支援活動や文化交流イベントの企画・実施、慈善、教育、環境保護、医療などの各種事業がある。

国際佛光会(Buddhaʼs Light International Association: BLIA)1992 年に設立された台湾高雄に総本山を置く佛光山の出家僧と在家信者によって構成される民間非営利組織である。佛光山は、2011 年に発生した東日本大震災の際に、日本の別院である東京佛光山寺および国際佛光会東京協会を中心とする日本佛光山を通じて積極的な支援活動を展開した。そして、日本佛光山は、この震災支援での経験・教訓を活かして、2013 年に特定非営利活動法人国際ブリアー(以下、国際ブリアー)を設立するに至った。

NPO 法人国際ブリアーの設立背景としての東日本大震災
佛光山は日本に別院として、佛光山法水寺(群馬県)、東京佛光山寺(東京都)、佛光山本栖寺(山梨県)、名古屋佛光山寺(愛知県)、大阪佛光山寺(兵庫県)を置いている。
信徒団体/ NGO としての国際佛光会も佛光山の別院と同様に日本各地に協会・分会を置いており、東京協会、関東協会、大和協会、大阪協会、福岡協会、名古屋籌備会17、板橋分会、茨城分会、宇都宮分会、埼玉分会、新宿分会、杉並分会、豊島分会、練馬分会、港区分会などがある。東日本大震災が発生した際には、東京佛光山寺・国際佛光会東京協会を中心とする日本各地の別院、国際佛光会協会・分会が協力して支援活動を展開した。

国際ブリアー設立の契機となった東日本大震災における日本佛光山の支援活動
2011 年 3 月 11 日、東北地方太平洋沖地震が発生し、東北地方から関東地方に至る広範な地域で甚大な被害が発生した。
東京佛光山寺・国際佛光会東京協会を中心とする日本佛光山は、東日本大震災における支援での地震は主に、台湾の民間レスキュー隊の後方支援、被災地への救援物資支援、義援金支援、奨学金支援を行った。特に、民間レスキュー隊の後方支援、被災地への救援物資支援は、国際ブリアー設立の直接的な契機となった。以下、その 2 つの支援活動について簡単に経緯を説明する18。まず、民間レスキュー隊の後方支援については、3 月 13 日に「中華民国捜救総隊」(以下、捜救総隊)という台湾の民間レスキュー隊が日本に到着した。しかし、政府派遣ではなかったため、受け入れの手続きができず、東京佛光山寺が一時的に隊員を受け入れることになった。その後、東京佛光山寺の尽力で山梨県の NPO 法人災害危機管理システム Earth(以下、アース)の石原顕正理事長(日蓮宗立本寺住職)の協力を得ることが可能となり、捜救総隊は石原理事長とともに岩手県大船渡市にある本増寺(日蓮宗)に入り、救援活動を展開するに至った。

つぎに、2013 年 8 月に実施した東京佛光山寺への聞き取り調査によると、日本佛光山はアースの協力を得ることにより、はじめて被災地に入ることが可能となったとのことであった。3月 18 日以降本格的に支援活動を展開し、救援物資の配布などを実施した。具体的には、岩手日本における台湾「市民社会」の伸張と受容(今井)県大船渡市本増寺(日蓮宗)、宮城県仙台市立七郷小学校、気仙沼市東陵高等学校、石巻市法音寺(日蓮宗)などの寺院や学校などで行われた。
東日本大震災において日本佛光山は、震災発生直後、単独で迅速な支援活動を展開することができなかった。このことを教訓として、日本佛光山は、2013 年 1 月に NPO 法人国際ブリアーを設立したのである。

第 3 節 NPO 法人国際ブリアーの事業からみる台湾「市民社会」の伸張と受容
1.NPO 法人国際ブリアーの概要
(1)目的
国際ブリアーが、東日本大震災の支援活動で得た教訓にもとづいて設立されたことはすでに述べたとおりである。国際ブリアーは定款第 3 条で、団体の目的について、つぎのように定めている。
この法人は、国内外の自然災害により、平穏な生活が脅かされた被災者又は脅かされる可能性がある被災地域住民に対して、支援物資の運搬・配布・避難場所の提供及び管理、その他ボランティア等の支援に関する事業を行う事により、国際交流を深めていくとともに、広く一般の人々が健康で文化的な生活をすることができる社会の維持及び地域の復興に寄与することを目的とする。
定款第 3 条をみると、自然災害の被災者に対する支援を団体の主な目的としており、東日本大震災の支援活動で得た痛烈な教訓を表していることがわかる。

(2)事業内容
国際ブリアーは定款第 3 条で定めた目的を達成するために、以下の事業を展開することを定款
第 5 条で定めている。
・災害時の救援活動
・被災地への救援物資の手配、運搬及び配布
・被災者への避難場所の提供及び心理ケア
・仮説住宅居住者への物資支援
・親族を失った児童への支援活動
・高齢者への支援活動
・ボランティア活動のコーディネイト
・災害時の救護・救援活動及び支援についての指導、研修の開催、人材育成
・復興支援に関するシンポジウム、研究会及び催し物の開催
・その他目的を達成するために必要な事業
定款第 3 条の目的で定めているのと同様に、災害時における被災者支援活動およびその関連事
業を主な事業内容に挙げていることがわかる。

(3)組織概要
国際ブリアーは、登記上、主たる事務所を東京佛光山寺に置いている。その他、大阪佛光山寺、名古屋佛光山寺、福岡佛光山寺、佛光山本栖寺、佛光山法水寺にも事務所を置いている。理事長は、釈満潤(以下、満潤)日本佛光山総住職が務め、その他の理事については、各別院の住職・副住職が担当し、各地域の国際ブリアーの責任者を兼任している27。定款によると、設立当初の役員は、理事長 1 名、副理事 2 名、理事 6 名、監事 1 名であった。

国際ブリアーの日本佛光山における位置づけは、紹介資料によると「助成:日本佛光山」「協賛:国際佛光会東京協会」とされている29。運営・事業展開に必要な資金は、日本佛光山、すなわち寺が拠出し、政府や企業からの寄付金や補助金は受け取っていない。

日本佛光山の各別院は、台湾の総本山から派遣された僧侶によって運営されている。また、国際佛光会は在家信者を中心するボランティアによって運営されている。NPO 法人としての国際ブリアーは、僧侶がリーダーとなり、信徒とともに各種ボランティア活動を展開する僧侶と信徒が融合した組織体であるといえよう。

NPO 法人国際ブリアーの事業展開とその特徴
国際ブリアーの事業は、定款第 5 条で定められているとおりであるが、中心的な事業である災害時の被災者支援の他に、「文化により知識と知恵を広げる、教育により人材を育成する、慈善により社会へ奉仕する、交流により人間関係を親密にする」という 4 つの柱にもとづいて、事業を展開している。

(1)緊急災害支援
緊急災害佛光山寺では震災発生翌日に、警察へ国際ブリアーによる被災地での支援活動実施の申請を行った。国際ブリアーは既に NPO 法人格を有していたので、東日本大震災での支援活動時とは異なり、すぐに許可を受け被災地への直接支援が可能となった。このため、福岡佛光山寺は日本各地の別院で収集した毛布、水、発電機、おむつなどの救援物資を被災地に送る拠点として有効に機能することになったのである。

国際ブリアーによる緊急災害支援は 2 回にわたって行われた。1 回目の支援は、4 月 17 日に行われた。福岡佛光山寺では、4 月 14 日に発生した初めの地震の後、被災地の益城町役場に連絡し、必要物資についての情報を収集していたという37。その後、16 日の本震の翌日、福岡佛光山寺の住職らは 1.5 トントラックに救援物資を積み福岡を出発した。救援物資はまず、益城町役場に運ばれ、益城町役場の物資受け取り責任者に提供し、必要物資についての情報交換を行った。つぎに、宗覚寺に行き、絨毯、無洗米、水、タオル、インスタントカレーおよび 30 万円の見舞金を提供した。

2 回目の支援は、4 月 20 日に行われた。台湾の総本山と中華航空が内政部に申請を行い、中華航空福岡総代理店の協力で、懐中電灯と毛布各 5,000 などの救援物資が福岡に届けられ、益城町に輸送された。

(2)文化交流
国際ブリアーは、日本佛光山が行う対外的な各種文化交流イベントで主催団体として活動を展開している。国際ブリアー主催による文化交流イベントの代表的なものに、台日文化交流、ミュージカル・シッダールタ伝、星雲大師一筆字書道展などがある。
 ①台日文化交流
台日文化交流は、日本と台湾との文化交流を目的として 2012 年に始まったイベントである。そもそも 2011 年 4 月に実施予定であったが、3 月 11 日に東日本大震災が発生したため中止となり、翌年 4 月に第 1 回台日文化交流が池袋西口公園で 2 日間にわたって開催された41。第 1 回台日文化交流の開催時は、まだ国際ブリアーが設立されていなかったため、その名前は出てこないが、第 2 回目には、後援としてその名前が記されている。2017 年 4 月には第 6 回が開催され、毎年1万人以上の来場者が参加された。
この台日文化交流は、日本佛光山の関係者らを中心として構成する「台日文化交流実行委員会」が主催。伝統芸能・民族舞踊の公演とブースでの台湾料理などの提供および物産販売などから構成されている。また、このイベントは「台日ベジフェスティバル in 池袋」というイベントも兼ねており、ブースでは「素食」と呼ばれる肉類を使用しない料理が提供され、その普及の意味も込められている。会場では、国際ブリアーと書かれた法被を着たボランティアが運営を行い、国際ブリアーの活動紹介パネルも展示されている。
このイベントで重要な点は、2012 年の第 1 回から「東日本大震災復興支援」をその目的の 1つにしていることである。さらに、2017 年に開催された第 6 回台日文化交流では、熊本地震の復興支援も目的に加えられた。売上の一部は東日本大震災および熊本地震復興支援のために寄付した。

 ②ミュージカル・シッダールタ伝
ミュージカル・シッダールタ伝は、仏教の開祖であるブッダの一生を描いたミュージカルである。佛光山が 2014 年にフィリピンに設立した光明大学の学生が中心となって上演したものである(NPO 法人国際ブリアー 2016)。2016 年 9 月に東京の板橋区立文化会館大ホールと大阪のエル・大阪(大阪府立労働センター)で公演した。

このミュージカルは、佛光山のマニラ万年寺、国際佛光会フィリピン協会、セブ慈恩寺、セブ青年分団などによって作られ、2007 年にセブで公演されたのが始まりであり、翌年には台湾でも 13 回公演されている(NPO 法人国際ブリアー)。したがって、このミュージカルは、上述の台日文化交流のように日本佛光山が独自に企画・実施したイベントではなく、フィリピンの佛光山関係者が製作したミュージカルの世界公演の 1 つに位置づけられる。

 ③星雲大師一筆字書道展
星雲大師一筆字書道展は、星雲が一筆書きで描いた書の展覧会である。この展覧会は 2005 年4 月に、高雄の佛光山にある佛光山佛光縁美術館がマレーシアで第 1 回展覧会を行って以来、アメリカ、シンガポール、フィリピン、日本、オーストリア、デンマーク、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、台湾、中国大陸各地の博物館などで開催してきたものである。

2016 年 11 月 19 日から 21 日まで東京芸術劇場(東京都豊島区)で開催された展覧会は、台湾の総本山が主催する「星雲大師一筆字書道展 2016 世界巡廻展」の一部として企画されたものである。この世界巡廻展は、2015 年 8 月のミラノ国際博覧会、16 年 3 月の中国国家博物館で展示されたものを16年7月から世界各地の佛光山の道場や美術館で展示するものである。日本では、福岡市美術館、名古屋市博物館、大阪佛光山寺、山梨県立図書館、六軒茶屋(兵庫県宝塚市)、群馬県民会館、佛光山本栖寺、神奈川県立県民ホール、東京芸術劇場で開催された。